相続した不動産や土地を処分したい、住み替えで今住んでいる住宅を売って資金にしたいといったことだけでなく、「ローンが残っているマイホームだけど売りたい」といった悩みを抱える方も少なくありません。もちろん早く売れることが一番ですが、ついうっかり忘れがちなのが不動産の買取でかかる税金です。税金は正しい金額で納税することはもちろん大切ですが、期限内に支払わなければ延滞金がかかってしまいます。そこで知っておきたい不動産の買取でかかる税金と、いつ支払う必要があるのかを詳しくご紹介します。
不動産の買取でかかる税金は6つある?知っておきたい内容
不動産の買取では、6つの税金がかかる可能性があります。課税されるのは土地や建物の他に、借地権や耕作権といった権利も含まれます。また海外にある建物や土地も課税対象となっています。それではどんな税金がかかるのか詳しく見ていきましょう。
不動産買取のやり取りでかかる税金
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税
不動産の買取をする際、契約書に必要となる印紙税、そして不動産会社に支払う仲介手数料にかかる消費税があります。消費税は司法書士利用した際や融資手続きの手数料にもかかります。に登録免許税は不動産の名義変更の際にかかる税金です。物件を引き渡す際には名義を変更する必要があります。またローンが残っている不動産を売却する場合、引き渡し時にローンを完済して抵当権を外さなければならないため、手続きに登録免許税がかかります。
不動産を買い取りしてもらい利益を得た場合にかかる税金
不動産の売却でかかる税金には、
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
があり、不動産の売却で生じた利益にかかるため、まとめて譲渡所得税と呼ばれます。不動産を取得する際にかかった費用から、売却にかかった費用(仲介手数料など)を引いて、利益があれば課税されます。税率は不動産の所有期間で変わります。5年未満であれば「短期譲渡所得」、5年以上所有している場合には「長期譲渡所得」とされ、それぞれの税率で支払う税金を計算します。所有期間は売却した年の1月1日を基準とするため、いつ売却するかは重要です。所有期間5年未満と5年以上では大きく税率が違うためです。長期譲渡所得では所得税は15%、住民税は5%ですが、短期譲渡所得だと所得税は30%、住民税は9%となっており、倍近く違います。これは不動産の転売を防ぐことを目的としています。
不動産を売却した際には特例が受けられる
不動産が居住用(マイホーム)の場合には、利益を得た場合だけでなく損失が出た場合にも特例を受けることができます。
3,000万円の特別控除
所有期間に関係なく、売却した際の譲渡所得から3,000万円を差し引くことができる特例があります。これはマイホームの一戸建てやマンションにのみ適用されます。ただし特別控除を受けるためには、
- 3年以内の売却であること
- 土地活用で利益を得ていないこと
- 売却の前年、前々年に特別控除や特例の適用を受けていないこと
- 売主と買主が特別な関係(親子や親族など)にないこと
が条件となります。
買い替えの際の特例
マイホームを売って買い替えをした場合に、一定の要件に該当すれば譲渡益の課税を繰り延べる特例を受けることができます。ただし支払わないのではなく、次に買い替えた場合に課税されます。買い替えた家の費用が売却の金額と同額か高い場合には繰り延べになります。ただし先の3,000万円の特別控除と特例のどちらか一方しか選べません。
赤字になった場合の特例
マイホームを売却したものの赤字になり、あらたにマイホームを購入した場合には特例が受けられます。
- 譲渡損失の損益通算
- 不動産売却で出た損失を、他の所得から差し引く損益通算ができます。
- 譲渡損失の繰越控除の特例
所得から引ききれなかった損失控除は翌年以降最長3年間の繰越が認められます。